
では、ふたつのケースに分けてポイントを検証してみましょう。
ケース1:将来、贈与者の相続が発生した場合に相続税が課税されないケース
■ 贈与金額が1610万円以内の場合(平成23年は1110万円以内の場合)
単年度で考えるとどちらも変わりはありませんが、どちらかいえば、贈与税減税1500万円+110万円の非課税枠を優先すべきでしょう。なぜなら、相続時精算課税制度は、一度選択すると暦年課税における110万円の非課税が一生できなくなること(同制度選択者に限り)、そして将来、何かの折に相続時精算課税制度を有効に利用する機会があるかも知れないことが挙げられます。

(図.1)
■ 贈与金額が1610万円を超える場合
非課税枠1500万円(非課税枠110万円は利用不可)+相続時精算課税制度を利用。この場合、合計4000万円までは非課税が確定したものといえます。また、4000万円を超えた部分に対しては一律20%の贈与税が課税されます。

(図.2)
ケース2:将来、贈与者の相続が発生した場合に相続税が課税されるケース
■ 贈与金額が1610万円以内の場合(平成23年は1110万円以内の場合)
このケースの場合も、相続時に加算されない非課税枠1500万円+110万円の利用を優先すべきです。ただし、1500万円を超え1610万円までの部分は、贈与から3年以内に相続が発生した場合は相続財産に加算されます 。 (図.1を参照)
■ 贈与金額が1610万円を超える場合
1)ここでも非課税枠1500万円+相続時精算課税制度を利用すれば、合計4000万円までは非課税扱いになります。但し、相続税清算課税制度部分は非課税が確定せず、将来の相続財産に加算されることになります。また、4000万円を超えた部分に対しては一律20%の贈与税が課税されます。(図.2を参照)
2)非課税枠1610万円+出資者(贈与者)が購入
具体例
購入金額が4000万円(土地、建物各2000万円)のケース
4000万円−1610万円(贈与)=2390万円(贈与者の出資)
上記の2390万円を以下のように配分
土地に390万円、建物に2000万円
※ここでは土地建物の名義をそろえるメリットや、使用貸借等に関する法的要素は考えないものとします。
(図.3)

(図.4)
上図のように土地は相続税評価額(時価×80%、図.3)、建物は固定資産税評価額(建築費×60%、図.4)として考えた場合、相続時精算課税制度を利用する場合と比較して、すでに新築時に、相続税の課税評価額を合計878万円軽減することが可能となります。
※上記の計算は新築時のものですが、建物の固定資産税評価額(3年に一回見直し)は下がり続け、一方の土地の相続税評価額(毎年公表される路線価による)は上下する可能があります。
この方法なら、相続発生時に改めて加算(このケースでは現金2390万円)される相続時精算課税制度と比較すると、相続税対策になることがお分りいただけると思います。もし相続税率が20%であれば、175万6,000円の節税となる計算です。
一方、この場合の大きなデメリットとしては、将来の相続時に土地建物が相続対象物件となり、相続人間のトラブルのもとになる可能性がゼロではないということです。
以上のケースはほんの一部分です。ここでは考え方や捉え方の参考にしていただければと思い、ご紹介いたしました。
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